板金加工の基礎知識
板金加工とは
板金加工とは、鉄やステンレスなどの金属板を切断や曲げ、溶接などを行い、任意の形状を作り出す加工を言います。また、主に溶接を多用し、一部に機械加工を用いて複雑な形状の構造物を作り出す製缶板金加工と、曲げ加工を主として金属板で形状を作る狭義の意味での板金加工とは区別して考えられます。さらに、手のひらサイズの小さな形状の部品を板金加工により作り出すことを精密板金加工と呼ぶこともあります。板金加工には、熟練した溶接および曲げ加工の技術が必要となります。曲げ加工についても、図面を展開し、どの位置でどのように曲げるかのノウハウが必要になり、いずれにしても卓越した職人芸が活かされる分野です。
板金加工による製作物は、箱材や架台、ダクト、ホッパーなど多岐に渡っており、生産現場で使用される生産財や広く消費財の一部として流通しており、なくてはならない部品となっています。素材や溶接方法などは用途に合わせて様々使い分けられています。例えば、水周りの使用される部品には、素材としてステンレス系の金属が使用され、溶接方法は水漏れを防ぐために全周溶接が行われます。板金部品は使用される用途に応じて様々工夫された設計が施されています。
板金加工における主な工程
設計技術者に板金加工の知識がなければ図面上で誤った指示や非効率な設計により生産現場担当者の作業工数を増加させてしまいます。加工不可能な指示や必要以上の精度要求は、コストアップの要因となります。右に板金加工における主な工程を紹介します。
板金加工において右図は基本的な工程であり、場合によっては都度複雑な追加工を行います。また、板金部品は設計図面に従って右記工程を中心として製作されます。図面によって必要な加工工程が決まり、その加工方法と使用する材料によってコストが算出されます。図面を作成する設計者は、部品コストに大きな影響力を持っていることを自覚し、価格競争力のあるローコスト製品を作るために設計段階から加工工程までを考慮したVA・VEを実施することが重要です。
※板金組立部品 VA・VE設計技術ハンドブックより
一部抜粋